彼女への罪悪感と、自身への怒り、どうにもし難い嫉妬心が私を覆いつくそうとしていた、
上京した私は、以前とはずいぶんと変わっていった。もとより、周りに影響されやすかった。
一人で何かをするのが好きだった私が、毎週のように同期と飲みに行き、学生のように酔っ払っていた。
男女の友情などまやかしだと思っていたけれど、女性の友達もできた。
はたから見ると毎日を楽しく、充実して過ごしているようだった。
都会というのはとても恐ろしい。考え方だけでなく、人間の本質をも変えてしまう。
そしてそれは大抵、あまり良い変化とは言えないものばかりだ。
私も類に漏れず、変わってしまった。意味もなく酒を飲み、意味もなく酔いつぶれ、生産性のない毎日だった。
仲がいいのはうわべだけ、誰一人として私の本質を分かってくれてはいなかった。
そしてだんだんと私自身も、自分の本質が分からなくなっていた。
ある飲みの席でのことだった。どこのテーブルでも当然のように話題に上がる恋愛の話となった。
その時、彼女がいた私は余裕の構えで他の話を聞いていた。
彼らの多くはマッチングアプリで相手を探していた。
私はマッチングアプリというものを使ったことがなかった。そして最悪なことにひどく惹かれてしまったのだ。
一度興味を持ちだすとやらずにはいられない。私という人間はそうゆうやつだ。
家に帰りマッチングアプリをダウンロードした。
数日たつと一人の女とマッチした。女はゲームが好きだった。
それから、女とゲームをするようになった。女は大してうまくはなかったが、私のことをよくほめた。
そんなことで舞い上がってしまうほど薄っぺらく軽くなってしまっていたのだ、私は。
それから女と酒を飲みに行った。
仕事のこと、趣味たわいのない会話をした。ひどく退屈な内容だった。
酒を飲んだ後は、定時が来たかのようにお互いそそくさと帰った。
あってしまえばなんてことないと思え、それ以降アプリを使う気にはならなかった。